クワガタ大顎形態研究
今回は趣味と研究を兼ねたお話。
東大からクワガタの顎形成に関する論文が出たようで。
元記事 http://www.asahi.com/articles/ASJDD56FYJDDUJHB00P.html
PNAS に出ているようなので、暇な時に読もうと思う。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はうちのラボでも少しやっていたことがあって、エピゲノムど真ん中という感じですな。幼虫時のエサの栄養によって、エピジェネティクスの状態が変わる。さもありなん。エピジェネティクス変異は子供に伝わるので、YGや久留米などのオオクワ大型血統の作出・累代という点でもクワガタ飼育の歴史上間違いないかな、と思う。大型化に有利なエピジェネティクス変異を持った子孫を累代した結果が今の大型血統と言える。ストーリー的には綺麗である。
しかし、クワガタ飼育を趣味とする自分としては、データが物足りない。せっかくオオクワには大型血統があるので、YG、久留米と、他の大型血統ではないオオクワガタ、あるいはワイルドでエピジェネティクス変異を比較する、とか、人工飼育では大顎が出ないクワガタ種を実験に供試すると、この顎形成機構がクワガタ全般に共通する general interest であるか明らかにできたと思う。そこは残念なところである。そして、大きな疑問は、オオツノコクヌストモドキ(Gnatocerus cornutus)は クワガタなのか、という点である。
そこで、さくっと論文を見てみた。しかし、論文には一言も stag beetle とは出てこない!もちろん俗に言うクワガタは実験に使っていない。うーーん、これはニュースが悪いような気が。「クワガタの大あご、大きさの謎解明 遺伝子の働きが関与」と書かれたら、クワガタのことだと思うわな。あくまでも、モデル甲虫での話。ニュースで掲載されている写真もクワガタなのもミスリードされる罠だな。それも普通の大中小のノコギリだし。ニュースの記事は校閲させてもらえないので、東大の先生の意図とは違うニュースタイトル、内容になっているのかもな。確かに、ゴミムシダマシでは一般人に見せるニュースとしてはインパクトがないとは思うが…。ということで、クワガタでも起こっていそうな大顎形成メカニズムがわかった、という感じですな。
ここからは下衆の勘繰りですが、これ、多分クワガタには当てはまらないのではないかと思う。研究者として考えると、general interest を解き明かすことが誉となるので、このデータがクワガタに当てはまれば、絶対にクワガタで実験をし、もっと有名な雑誌を狙ったはず。論文に「クワガタ」の一言も出てこない(引用文献では1つあるようだが)のはそういう意味ではないかと勘繰るのは本当に下衆であるが、ニュースのタイトルがタイトルだけにクワガタで実験をしたのかどうか知りたいところである。まさかクワガタの幼虫が手に入らなかった、なんてことはないはずなので。
まぁ、ニュースと論文の内容の齟齬はどうあれ、自然界に生きる生物の環境順応性は凄いな、と感心する。
東大からクワガタの顎形成に関する論文が出たようで。
元記事 http://www.asahi.com/articles/ASJDD56FYJDDUJHB00P.html
PNAS に出ているようなので、暇な時に読もうと思う。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はうちのラボでも少しやっていたことがあって、エピゲノムど真ん中という感じですな。幼虫時のエサの栄養によって、エピジェネティクスの状態が変わる。さもありなん。エピジェネティクス変異は子供に伝わるので、YGや久留米などのオオクワ大型血統の作出・累代という点でもクワガタ飼育の歴史上間違いないかな、と思う。大型化に有利なエピジェネティクス変異を持った子孫を累代した結果が今の大型血統と言える。ストーリー的には綺麗である。
しかし、クワガタ飼育を趣味とする自分としては、データが物足りない。せっかくオオクワには大型血統があるので、YG、久留米と、他の大型血統ではないオオクワガタ、あるいはワイルドでエピジェネティクス変異を比較する、とか、人工飼育では大顎が出ないクワガタ種を実験に供試すると、この顎形成機構がクワガタ全般に共通する general interest であるか明らかにできたと思う。そこは残念なところである。そして、大きな疑問は、オオツノコクヌストモドキ(Gnatocerus cornutus)は クワガタなのか、という点である。
そこで、さくっと論文を見てみた。しかし、論文には一言も stag beetle とは出てこない!もちろん俗に言うクワガタは実験に使っていない。うーーん、これはニュースが悪いような気が。「クワガタの大あご、大きさの謎解明 遺伝子の働きが関与」と書かれたら、クワガタのことだと思うわな。あくまでも、モデル甲虫での話。ニュースで掲載されている写真もクワガタなのもミスリードされる罠だな。それも普通の大中小のノコギリだし。ニュースの記事は校閲させてもらえないので、東大の先生の意図とは違うニュースタイトル、内容になっているのかもな。確かに、ゴミムシダマシでは一般人に見せるニュースとしてはインパクトがないとは思うが…。ということで、クワガタでも起こっていそうな大顎形成メカニズムがわかった、という感じですな。
ここからは下衆の勘繰りですが、これ、多分クワガタには当てはまらないのではないかと思う。研究者として考えると、general interest を解き明かすことが誉となるので、このデータがクワガタに当てはまれば、絶対にクワガタで実験をし、もっと有名な雑誌を狙ったはず。論文に「クワガタ」の一言も出てこない(引用文献では1つあるようだが)のはそういう意味ではないかと勘繰るのは本当に下衆であるが、ニュースのタイトルがタイトルだけにクワガタで実験をしたのかどうか知りたいところである。まさかクワガタの幼虫が手に入らなかった、なんてことはないはずなので。
まぁ、ニュースと論文の内容の齟齬はどうあれ、自然界に生きる生物の環境順応性は凄いな、と感心する。

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